― マンガの力でまちを元気に ―
札幌市では今、私たちが大好きな“マンガ”を活用した、ちょっとワクワクするまちづくりが動き出しています。
その中心となるのが、2025年4月に立ち上げした「一般社団法人 札幌マンガ・図書等活用まちづくり機構(通称:SamaLit)」。目指しているのは「マンガ等を通じて、札幌をもっと魅力的にすること」。これは札幌市と地元企業や大学などが力を合わせて進める、新しいタイプのまちづくりです。
きっかけはマンガ家さんたちの声
このプロジェクトのはじまりは、2021年。北海道や札幌にゆかりのあるマンガ家の方々が、「北海道にマンガミュージアムを作りたい!」と声を上げたことがきっかけでした。
札幌や北海道は、実は多くの人気マンガ家を輩出してきた地。『あさきゆめみし』の大和和紀さん、『日出処の天子』の山岸凉子さん、『潔く柔く』のいくえみ綾さん、『銀の匙』の荒川弘さん、『ゴールデンカムイ』の野田サトルさんなど、名前を聞いただけで作品が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
そんな地元に根ざしたマンガ家の方々の熱い思いと、札幌市の「文化や芸術を生かして、もっと魅力的な都市にしたい」という想いが重なり、プロジェクトが始動しました。
「札幌ならではの取組」とは?
この取り組みの特徴は、「ライブラリー」「ミュージアム」「ビジネス」という3つの要素が連携していること。
- ライブラリーでは、マンガや関連図書などをそろえ、子どもから大人までが楽しく学べる場所をつくります。
- ミュージアムでは、原画の展示や作品にまつわる世界を体験できるイベントなどを開催。
- ビジネスでは、マンガを使ったグッズ開発や観光コンテンツづくりを目指しています。
この「札幌ならではの取組」は、単にイベントを開くだけでなく、地元の人が楽しみながら、学び、働くきっかけをつくることも目的としています。

学生にも広がる可能性
特に注目したいのは「人材育成」。このプロジェクトでは、マンガ家やクリエイターを目指す人たちを応援する仕組みが検討されています。(プロの編集者による講座や、創作ワークショップ、マンガづくりの体験プログラムなど)
「いつか自分の作品を世の中に届けたい」――そんな夢を持つ中高生や若者にとって、大きなきっかけになるはずです。
すでに始まっている展示やイベント
2023年からは、すでにいくつかの展示会やイベントも開催されています。
- SAPPORO MANGA PARK(2024年秋)
北海道や札幌にゆかりのあるマンガ家の作品展示をはじめ、マンガ体験やアートワークショップなどが楽しめるイベントとして白い恋人パークで開催。 - 『あさきゆめみし』×『日出処の天子』展(2024年3月)
東1丁目劇場で開催され、約8,000人が来場。両作の作者によるトークイベントも開催。 - 「白い妖怪ぱーく」展(2024年2月)
白い恋人パークで開催。塗り絵体験や画法・技法のレクチャーなどのワークショップもあり、家族連れにも大人気。 - 「北海道とマンガのミライ」展(2023年秋)
中央図書館で開催され、教育的な側面からマンガと北海道の関係の掘り下げも実施。
こうしたイベントを通じて、市民や観光客がマンガ文化にふれるきっかけが増え、札幌の魅力がさらに高まっていくことが期待されています。
5年間の“トライアル期間”、そしてその先の未来を描く
このプロジェクトは、まず5年間の“トライアル期間”を設定。展示会やライブラリー運営、ワークショップなどを試しながら、札幌らしい文化と経済の仕組みをつくっていく予定です。
目指すのは、マンガをきっかけに「学び」「楽しみ」「働く」ことがつながり、街全体が元気になる仕組み。企業や大学、行政、そして市民が一緒になって創っていく、新しいまちづくりの形です。
マンガが好きな人も、これまであまり読んでこなかった人も、この流れにぜひ注目してみてください。札幌発のマンガ文化が、地域を変える力になるかもしれません。