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社会に貢献できるモノづくりを。50年以上の実績を誇る鉄工の会社「北斗重工」

2025.3.3

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札幌には金属加工や産業機械などの製造業に長年取り組んでいる会社がたくさんあります。西区の発寒鉄工団地内にある北斗重工株式会社もそんな会社のひとつ。2022年には創業50周年を迎えた同社は、ベテランの職人から次世代を担う若手まで幅広い層のスタッフがそろって活躍しています。今回はそんな同社について総務部の取締役部長・岩渕智文さんに話を伺い、同社の鉄工事業部に勤務している幸坂将司さんに職場の現場のことや仕事のやりがいなどについて伺いました。

1972年創業。現在は鉄工、プラント、空調の3つの事業部で展開

北斗重工が誕生したのは1972年。その前は、産業機械の設計やテトラポットなども扱っていたそうですが、産業機械の設計製造部門を分離する形で独立。現在は、札幌市西区の本社工場のほか、石狩にも3つの工場を設け、鉄工事業部、プラント事業部、空調事業部の3事業部体制でそれぞれものづくりを行っています。

こちらは札幌市西区にある本社工場

鉄工事業部では同社の主力商品となる橋梁の伸縮装置を主に製造。「この伸縮装置というのは、橋と道路をつなぐつなぎ目に使用するものを言います。橋を作る際、橋桁は気温差で微妙に伸縮するため、ぶつからないように隙間が作られるのですが、これを覆って車が走りやすいようにするための装置です」と岩渕部長。特殊な構造でできているそうで、外からは見えないそうですが、こうした装置のおかげで私たちが安全に橋を利用できているのだなと分かります。同社では道内のほか、本州の橋の伸縮装置も手掛けているそう。

「このほか、鉄工事業部では架台と呼ばれる重い設備機器を製造しています。イメージがつきやすいもので言えば、ビルのエアコンの室外機を設置するための台や建物内のダクト、配管を支える装置が挙げられます」

近年、札幌の街はいたるところで再開発が進んでおり、新しいビルや施設が次々と建設されていることもあり、架台の需要が増えているそうです。

こちらが総務部の取締役部長・岩渕智文さん

石狩の工場にあるプラント事業部では、配管の設計・製作・取り付けを中心に、工場で使用されるものを製作しています。「特にガスや石油関係の配管の製作も多く行っています。これらは決して漏れてはいけないものなので、細心の注意を払い、作業にあたっています」と岩渕部長。

空調事業部では、建物内の排気、吸気を通すための各種ダクトを製作。「建物の気密性や断熱性が高くなった分、快適に過ごすために建物内の空調設備の果たす役割はとても重要に。当社では、ダクトの製作・設置やそれに関連する機器の設置など、設計から現場での施工まで対応しています」とのこと。札幌市内をはじめ、全道各地のビルや病院、ホテルといった施設の仕事を請け負っています。こちらも各地の再開発に伴い業績が伸びており、まだまだ再開発事業が進む札幌においてはさらなる伸びも期待できると見ているそうです。

職人たちの技術力の高さとこれまでの実績で多くの顧客が支持

どの事業部で製造しているものも、外側からはなかなか見えないものですが、私たちが日々の暮らしや活動を安心、安全に行うのに欠かせないものばかり。少しのミスも許されないものですが、同社は50年という長い年月で培ってきた高い技術力で多くの取引先から支持されてきました。

「おかげさまで、当社の技術力を買ってくださっているお客さまが多く、主力商品でもある橋梁の伸縮装置に関しては道内で60~70%のシェアを誇ります。品質の高さ、特に持続性や耐性に関しては高い評価をいただいています」

橋梁の伸縮装置は、組み立てなどで人の手を使った作業も多く、職人の技術力によるところが大きいそうです。「機械化が進んでいると言っても、その機械を動かすのも結局は人なので、やはり当社にとって職人の力は重要です」と続けます。

同社には現在、約60名の社員が工場で製造にあたっています。発寒にある本社工場は、鉄工事業部が10名、空調事業部が22名。空調事業部に関しては工場ではなく現場に出て作業しているスタッフも多くいるとのこと。そして、残りの約30名が石狩の3つの工場で仕事にあたっています。スタッフの中には、創業時から活躍しているレジェンド的な職人の方もいて、現役で仕事をこなしながら、次世代にその技術を継承しているそう。

創業者の想いを大切にさらなる発展を目指す。もちろん従業員へも還元

同社は、創業者である現会長が掲げてきた「社会に貢献できるモノづくりを」という想いを大切に、鉄を用いた製品づくりに取り組み、発展してきました。社としては、これからもこの想いを大切にしながら事業を継続させ、さらなる発展を見据えています。

「ここでとどまることなく次の時代にモノづくりの技術や心を伝えていくためにも、やはり大事になってくるのが人材です。若い人たちにも鉄を使ったモノづくりの仕事を知ってもらうため、昨年、一昨年と高校生のインターンシップを受け入れています。また、商工会議所を通してですが、市内の高校で出張型の職業体験も実施しました」

岩渕部長をはじめ、総務部では採用活動や会社全体の事務を担っています

電気を使って溶接する機械を持参し、高校生たちの前で溶接の技術を見てもらったそう。今後は、若手の育成にも力を入れながら、「さらに会社を大きく成長させ、そこで得た利益をきちんと従業員へ還元したいと考えている」と岩渕部長は話します。

現在も基本的な福利厚生はすべて整っており、休みも取得がしやすいよう配慮しているそう。職場の環境整備も行い、休憩時にゆっくり過ごせるようソファや小上がりを設けているほか、給茶機やウォーターサーバーも設置し、自由に飲めるようになっています。利益の還元という点では、通常の年2回の賞与のほか、業績に応じて決算賞与を出しています。業績が継続して伸び続けているので、この決算賞与もここ数年はずっと出ているそうです。

また、工場内のスタッフの風通しの良さも特徴です。新しい人が入っても、常に周りがサポートしながら一つずつ仕事を教えてくれるので、異業種からの転職者もたくさん活躍しています。このような働きやすい環境であることをよく表しているのが、兄弟や親子で勤務しているスタッフが多くいること。仕事自体が少ない地方の町村ではよく聞く話ですが、札幌の会社では珍しい話です。家族に勧めるということは、それだけ働きやすい職場であり、やりがいも感じられる仕事だということなのでしょう。そんな一人が、次に登場してもらう幸坂将司さんです。

父の勧めもあり入社。働きやすい環境で先輩たちの背中を追う充実した日々

幸坂さんは2024年の春に中途採用で入社。今は、鉄工事業部で橋梁のジョイントの組み立てやジョイント部分のちょっとした塗装、溶接などを行っています。ジョイントの組み立ては、2人1組となり、測量で使うようなカメラを使ってミリ単位でチェックするそう! その細かさには驚きです。

さて、幸坂さんは高校を卒業後、理容師になるため専門学校へ進学し、理容師として理容サロンに就職しますが、数年で退職。そのあとは営業の仕事やサービス業、ドライバーの仕事など、「鉄工業とはまったく関係のない仕事ばかりしていましたね」と笑います。

北斗重工に転職するきっかけは、同居しているお父さんでした。幸坂さんのお父さんは、長年北斗重工に勤務。職人として鉄工の仕事に携わり、今も石狩の工場でプラント事業部に所属して、現役で仕事をしています。幸坂さんがドライバーとして働いていたとき、北斗重工で働いてみないかと誘ってくれたそう。

こちらが鉄工事業部に勤務している幸坂将司さん

「自分も家族がいるので、長く安定して働けるところに行けたらと考えてはいました。ただ、鉄工業はまったくの未経験。新しいことに挑戦するのには勇気がいりましたけど、思い切って転職を決めました。父からは、手に職があるのは間違いなくいいぞと言われました」

子どもの頃、家族で出かけた際、「ここのビルの配管は父ちゃんが通したんだぞ」と誇らしげに言っていた父親の姿を覚えているという幸坂さん。「当時、父親の仕事はすごい仕事なんだなぁと思ってはいたので、鉄工の仕事にまったく興味がなかったわけではなかったのかもしれません」と続けます。

入社してすぐは溶接作業をさせてもらったそう。

「はじめのうちは、ひたすら溶接をしていましたね。あとは、いろいろな道具があるので、とにかく触って、ひとつずつ使い方などを覚えていくという感じでした」

また、少し経つとちょうど納品の時期だったこともあり、ドライバー経験を生かして工場で作った架台を目的地まで運搬する作業も任されていたそう。

もうすぐ入社から1年となる幸坂さんですが、これまでを振り返ってみて、「まったくの未経験からスタートして、最初は驚くこともいろいろありました。それこそミリ単位でやるんだ!とびっくりしました。だけど、たくさんの人たちが利用する橋に使われるものだから、絶対に安全でなければならないわけですし、少しの違いも許されないんだとよく分かりました。そして、先輩たちが真剣にモノづくりに取り組んでいる姿を毎日間近で見て、すごいなと思いました」と話します。

メリハリのある職場だからこそ、先輩たちとの談笑も弾みます

その先輩たちについても聞いてみると、次のように教えてくれました。

「みんな優しいですね。必ず誰かが様子を見て、アドバイスをくれたり、声をかけてくれたりするんです。休憩時間もみんな和気あいあいとして、笑い声も絶えません。ただ、仕事に関しては厳しいところももちろんあります。それはやはり真剣に仕事と向き合っているから当然と言えば当然です。当初はもっと厳しいかと思って覚悟をしていたのですが、実際は仕事中と休憩中、オンとオフの切り替えがしっかりしているという印象ですね」

休みや福利厚生に関しても満足しているそう。「前職は長期休暇や土日の休みがなかなか取れなかったのですが、転職してからは、週末はしっかり休めるし、長期休暇も取れるので、一緒に出掛けたりできると妻も喜んでくれています」と笑顔で話してくれました。休みには、奥さんと一緒に大好きな馬を日高方面へ見にドライブへ行ったりしているそうです。

「まだ覚えることもいっぱいありますが、日々新鮮な気持ちで仕事ができています。同じものを毎日作り続ける工場とは違うので、面白いですね。職人としてすごい先輩たちばかりなので、先輩たちの仕事を見ながら、教えてもらいながら、それを吸収して成長していきたいです。溶接関連の資格も取得し、自分ひとりでもできる作業を増やしていきたいです」と最後に語ってくれました。

こちらが高いシェア率を誇る橋梁の伸縮装置
札幌をはじめ道内の大事なインフラを支える同社
岩渕智文さん

北斗重工株式会社 総務部取締役部長

岩渕智文さん

幸坂将司さん

北斗重工株式会社 鉄工事業部

幸坂将司さん

北海道札幌市西区発寒15条13丁目3番20号

TEL. 011-663-6731

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