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会場は夜の森!「野外空間演劇ドドド」。芝居と音楽による夢の時間をご一緒に

2024.8.14

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演劇に携わる人は多いものの、演劇を観る人の数は首都圏に比べると少ないと言われる札幌。これを読んでいる方の中にも、「演劇? 難しそう」とスクロールするのをやめようとしている方がいるのでは? いえいえ、ちょっと待ってください。今回紹介する「野外空間演劇ドドド」は、札幌の演劇家たちによる野外イベント。演劇を観るのが初めてという人でも存分に楽しめる演劇、音楽、アートがミックスされたエンターテインメント性の高いイベントです。3回目を迎える今年(2024年)は、8月31日(土)に開催。札幌市南区にある紅櫻アウトドアガーデンを会場に繰り広げられる、たった一夜のスペシャルな時間について、総合プロデューサーであり俳優として出演もする桐原直幸さんと、脚本と演出を手掛ける米沢春花さんにお話を伺いました。

劇場とは違った非日常が味わえる一夜限りの野外演劇イベント

「野外空間演劇ドドド」で総合プロデューサーを務める桐原さんは、札幌で会社員をしながら、俳優としても活躍をしています。先輩と立ち上げた演劇ユニット「二度寝で死にたいズ」での活動のほか、札幌の「劇団fireworks」にも所属し、各公演に出演しています。まずは桐原さんに「野外空間演劇ドドド」を始めるきっかけから伺いました。

こちらが桐原直幸さん

「外にテントを張って芝居をする『劇団どくんご』という本州の劇団があるのですが、彼らが札幌の円山公園で行った公演を見たときに、野外で芝居するのっていいなと思ったんです。音楽も交えた芝居で、劇場でやる芝居とはまた違った楽しさがあるなと。それで自分もやってみたいなと思ったのが最初のきっかけです」

いろいろなご縁があり、2022年、札幌市南区澄川にある都市型キャンプ場「紅櫻アウトドアガーデン」を借りて1回目の「ドドド」を行います。

「演劇に関する助成金を得られたこともあり、何か挑戦してみようということで、キャンプ場で行うことにしました。もともと自分がキャンプ好きというのもあり、テントサイトも設け、好きなキャンプと演劇を組み合わせた形でチャレンジしてみることにしました」

過去に開催した実際の「野外空間演劇ドドド」の様子です

桐原さんがプロデューサーとなり、裏方も演者も桐原さんが一緒にやってみたいと思うメンバーを集めました。脚本や演出は「劇団fireworks」の米沢春花さんに、音楽も同じ劇団の山崎耕佑さんに依頼。演者はほかの劇団で活躍している俳優たちに声をかけました。

宵の口に幕が開く一夜限りの公演は、劇場で芝居をやる以上にライブ感があり、観客との一体感も感じられたそう。「音楽」をテーマにした内容で、ファンタジーの要素が盛り込まれ、子どもから大人まで楽しめる作品となりました。

「劇場は天井も壁もありますが、ドドドの野外空間にはそれらがなく、逆に頭上に広がる星空をうまく利用したり、劇場ではできない火や水を使った演出も行ったりしました。非日常の空間でありながら、リアルさも感じていただけたと思います」

また、演劇のあとは後夜祭があり、焚き火を囲んでライブやアートも楽しめるようになっているそう。

3年目を迎える今年の芝居のタイトルは「ソラシル」

ドドドは、当初から3年で1クールと考え、3部作的に作品づくりを行ってきました。今年はいよいよその3年目となります。「3部作のような構成にしていますが、単体で観ていただいても十分楽しめるものにしているので、今回から初参加という方も大歓迎です」と桐原さん。

今回のタイトルは「ソラシル」。空を知る、神のみぞ知るなど、いろいろな意味を込めた造語です。物語に登場するのは、音楽になるために旅をしている「銀河鉄道の音楽隊」のメンバー。1,000年に一度開催される「大地の音楽祭」を訪れますが、ちょっとしたすれ違いでメンバーはバラバラになってしまいます。足りない何かを探し、本当の音楽を取り戻そうと音楽隊が動き始め…。たくさんの音が溢れる冒険物語です。

「僕は1作目から主役をやらせてもらっているのですが、基本的に自分以外の俳優は毎年入れ替えています。演者に関しては、僕のほうからオファーをさせてもらった方たちだけでやっています」

桐原さんをはじめ、ドドドに関わるスタッフは演者も含めて総勢30名ほど。30代が中心なのだそう。桐原さんのように日中は別の仕事をしているメンバーが大半なので、仕事終わりに集まって稽古を行います。取材させていただいた日も19時過ぎにみんなが集まり、稽古に励んでいました。

この日の稽古は、劇中の見所でもある音楽の練習からスタート

森に囲まれた中、火や水を使った演出も。観客とつくり上げる作品は一期一会

さて、今回のドドドの見どころも含め、脚本と演出を手掛ける米沢春花さんにお話を伺うことに。米沢さんは大学時代に「劇団fireworks」を旗揚げし、札幌を中心に活動しています。

「fireworksと違って、ドドドは桐原くんがプロデューサーなので、彼のやりたいことをまず聞いて、そこから脚本や演出を考えていきます。材料を与えてもらって、料理をしていくような感じです。今回は3年目の集大成でもあるので、1回目、2回目のいいとこどりをしつつ、よりパワーアップしたものにできればと考えています」

こちらが米沢春花さん

1回目から携わっている米沢さん。1回目は演者として出演もしたそうです。野外空間で行う面白さや魅力はどういったところにあるのでしょうか。

「ブラックボックスの劇場とは違い、ドドドの場合、すぐそばに森があって、どこからともなく自然の風が吹いてくるし、星空が見えるかどうかも分からないし、舞台の袖もないし、暗転もきかないし、一見広々していて自由なようで、自分たちの意志ではどうしようもできないものに臨機応変に対応していかなければならないハラハラドキドキ感が面白さでもあるのかなと。そして、その状況をその場にいるお客さんたちと共有しているのがまた面白いところだと思います」

たとえば、脚本に「見上げると星空」とあっても、当日雲がかかっていたら「星空」を「夜空」に変えるなど、そのときの状況に応じてセリフ回しを変えるなどするそう。また、桐原さんも話していた野外だからできる火や水を使った演出も魅力と話し、さらに「一夜限りの公演なので、小道具を使いまわす必要がないため、その場で燃やしてしまうような演出ができるのもドドドならでは」と米沢さん。

観客は、ステージとなる部分を半円で囲むように自由に座って観るそう。劇場のようにイスが整列している感じではなく、ゆったり自由なスタイルで観られるのがポイント。あえて演者と近い距離に席を取る人もいれば、芝生に寝転がりながら観ている子どもや、喫煙スペースから遠目で観ている人などもいたそう。

「ドドドでやる芝居は一期一会な作品だと思っています。これまで2回やってきて、観客の皆さんとも一緒にその場の空間を作っている感覚が面白いし、何よりやっている自分たちが楽しい」

今回の推しポイントを尋ねると、「大きな人形と音楽でしょうか」と米沢さん。人形劇の劇団「トランク機械シアター」で俳優・人形操演師として活躍している後藤カツキさんが操る巨大な人形が縦横無尽に動く様子は、野外空間だからこそ見られる迫力なのだそう。また、今回はジャンルの異なる3人の作曲家が音楽を担当するので、いろいろな音が入ってくるのも楽しみにしてほしいと話し、その音楽と俳優たちのパフォーマンスが相まってどのような化学反応を起こすかも見どころです。

こちらが後藤カツキさん

札幌で面白い作品を作り続け、演劇文化を浸透させていきたい

互いに「相棒」と呼ぶ、桐原さんと米沢さん。せっかくなので、2人が演劇をはじめたきっかけや演劇に対する思いや活動についても伺うことに。

2人は北海学園大学の演劇研究会出身で、米沢さんが4年生のときに桐原さんが1年生という先輩後輩だったそう。

桐原さんは高校までサッカー少年で、演劇なんて興味もなかったと言いますが、「幼なじみに誘われて演研に入ってみたら、はまってしまったんですよね」と笑います。「演劇は映画と違って生もの。やり直しがきかなくて、その日その日の舞台が真剣勝負で、演じているほうとしてはスリルもあって面白い。そして、そんなライブ感が好きなんです」と続けます。

就職せずに東京で俳優としてやっていく道も考えたこともあったそうですが、「仕事をしながらでもやっていける環境があったので、今の道を選択しました」と振り返ります。転勤で地方にいたときは一人芝居に挑戦するなど、自分のペースで演劇と向き合ってきました。

その一人芝居に関しては、大阪で行われる一人芝居フェス「INDEPENDENT」に札幌予選を勝ち抜いて出場したことも。全国から集まった手練れたちの中で自分の演技を堂々と披露。その演目の脚本は先輩である米沢さんが担当しました。

「米沢さんが立ち上げたfireworksにも大学3年のときから客演させてもらっていて、芝居に対する思いとか熱量などは通じるものが多く、一人芝居のときは米沢さんに脚本や演出をお願いしていました」

4年前、札幌勤務になったのを機に「劇団fireworks」の一員として正式に入団。共に演劇に打ち込んでいます。

その米沢さんは、高校のときに友人に連れられて観た「劇団イナダ組」の舞台装置に感銘を受け、「舞台装置を作って空間演出をしたい」と北海学園大学の工学部へ進学。

「非日常の空間を作り上げていくのが好きなんです。今も作品作りの導入は空間作りから入っていく感じですね」

米沢さんが劇団fireworksを立ち上げたのは大学在学中。札幌市西区にある舞台施設コンカリーニョでボランティアスタッフとして関わっていたのがきっかけでした。

「コンカリーニョでボランティアをするとポイントがもらえて、それを300個集めると1日コンカリーニョを無料で使えるというシステムが当時あったんです。それで、300個集まったら自分の劇団を旗揚げしようって決めていました(笑)」

卒業後は自衛隊に入隊しようと考えていたそうですが(⁉)、コンカリーニョの運営の方から「うちにおいでよ」と声をかけられ、8年間、コンカリーニョのホール管理や企画運営の仕事に携わります。仕事の傍ら、fireworksの公演も続けてきました。

8月の本番に向けて、これから稽古は週4〜5回にも及ぶそうです!

現在は、2歳になるお子さんの子育てをしながら、農家でアルバイトをし、演劇に取り組んでいる日々。fireworksのほか、札幌や道内で演劇活動を行っている30代前後の俳優に立場や環境に関係なく声をかけ、一緒に優れた作品を作り、札幌の演劇界を引っ張っていこうという趣旨のSapporo Theater Jam企画も手がけています。

「アマチュアの本気はプロを凌駕するって思っているんです。たとえばプロの演劇家は、それが仕事でそれだけに注力できるから2日でできてしまうかもしれないけれど、同じことをほかのことをやりながら取り組むアマチュアは2カ月かかる。でも、それだけ本気の思いを持って時間をかけてやっていくことで、プロを超えるレベルのものが生まれると思っています」

それを一緒に目指せるのが桐原さんだと米沢さんは話します。「ほかの仕事をしながらでもここまでの高いレベルの演劇ができるというところを見せていきたいし、桐原くんは同じ方向を向いて共に頑張り続けてくれる同志であり、貴重な存在です。これからも札幌で面白い作品を作り続け、それを文化として市民の皆さんに受け入れられるように頑張りたいですね」と続けます。

そんな2人が主演、脚本・演出を務める3シーズン目の「野外空間演劇ドドド」。札幌で活躍する俳優や音楽家らが集まり、夜の森で繰り広げる非日常の物語の世界へぜひ飛び込んでみませんか!?

桐原直幸さん

「野外空間演劇ドドド」総合プロデューサー/二度寝で死にたいズ/劇団fireworks

桐原直幸さん

米沢春花さん

「野外空間演劇ドドド」脚本・演出/劇団fireworks/Sapporo Theater Jam

米沢春花さん

「野外空間演劇ドドド2024 supprted by アルキタ」
日時:8月31日(土)17:00〜22:00/テントサイト 11:00〜翌9:30
会場:紅櫻アウトドアガーデン(北海道札幌市南区澄川389-6紅櫻公園内)

<タイムスケジュール>
11:00 テントサイト開場

17:00 一般開場
18:30 メインステージ「ソラシル」開演

19:30 後夜祭スタート(音楽ライブ、アート展示)

22:00 一般閉場

翌9:30 テントサイト閉場


<料金>
入場券:3,500円
キャンプチェア付き入場券:4,000円
テントサイト付き入場券:7,500円

※小学生以下入場無料/要保護者同伴。
※ペット入場不可。
テントサイトは1区画につき最大6名様までご利用できます。
テントサイトを複数人でご利用の場合は、全員分の入場券が必要です。

チケットの予約・申し込みは下記から(支払いは当日)
https://ddd2024.peatix.com/
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