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これからを支える次世代ストーリー

ボールパーク札幌で、学童野球のサポートをする野球好きスタッフ

2024.9.30

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昨今は、サッカー、バレー、バスケットとあらゆるジャンルのスポーツで、世界を舞台に活躍するアスリートが増えました。もちろん、野球も然り。大谷翔平選手を筆頭に、メジャーリーグに行った日本人選手の活躍は連日のようにニュースで取り上げられていますよね。彼らの活躍は多くの野球少年たちの憧れでもあります。

野球は国民的なスポーツの一つですが、最近はキャッチボールや野球ごっこをしている子どもを見かける機会が減ったような気もします。学童野球のチームが減っているという話も耳にします。それは、野球やキャッチボール禁止の公園が増えたり、放課後に学校のグラウンドが使用不可だったりという場所の制限も理由のひとつと言われています。それでも野球がやりたい、野球がうまくなりたいと頑張っている子たちの力になろうと活動しているのが、「フィールドフォース」という会社です。今回は、同社が運営する「ボールパーク札幌」へお邪魔し、スタッフの大浦優希さんに仕事の話、野球への思いなどを伺いました。

学童野球を支えていきたい。野球用品メーカーが運営する室内練習場

東区の苗穂・丘珠通りと宮の森・北24条通りが交差するすぐそばに「ボールパーク札幌」があります。向かいには西友元町北二十四条店があり、近くには市立札幌開成中等教育学校やツルハの本社もあるエリアです。

「こんにちは!」と元気よく迎えてくれた大浦優希さん。その挨拶やキビキビした動きから、野球少年だったんだろうなと想像がつきます。そのことを尋ねると、「はい、ずっと野球をやっていました。今も友達と草野球のチームを作ってやっています」とニッコリ。

▼今回、取材をさせていただいた大浦優希さん。

ボールパーク札幌は2階建て。建物の中には、ピッチングマシンが置かれたバッティングエリアや18.44mを確保したピッチングエリア、数名でキャッチボールもできる多目的コートなどがあります。1階の一角にはグラブやバッドなどが並ぶショップもあります。

まずはボールパーク札幌を運営している会社「フィールドフォース」について伺うことに。

「フィールドフォースの本社は千葉県の柏市にあります。野球用品のメーカーとしてスタートした会社で、今もその製造販売がメインとなっています。東京の足立区には自社のグラブ工房も有しています。ここのような室内練習場の運営を行っているほか、小学生を対象にした野球のスクールも開いています」

▼ボールパーク札幌内には子どもから大人まで使用できる野球用具を取り揃えています。

ボールパークは札幌も含め、全国で5カ所。道内は旭川にもあるそうです。札幌ができたのは5年前。室内練習場は、小学生からクラブチームに所属している大人まで幅広い層が利用しているそう。

「北海道の場合、冬場の練習場の確保が難しいため、利用者の数が夏場に比べると格段に多く、常に予約でいっぱいの状態になります。全面貸切で利用されるチームも少なくはありません。また、バッティングセンターでは滅多にない硬式のバッティングマシンがあるので、練習終わりにシニアや高校生の子たちもたくさん訪れます。本州のボールパークは梅雨の時期や夏の猛暑に利用が増えると聞いています」

また冒頭で説明した通り、野球が禁止されている公園や空き地が増えていることもあり、練習がしたくてもできない子どもたちが利用しているケースも多いとのこと。実は、このことも会社がボールパークをオープンさせた理由に関係しています。

▼本格的バッティングマシンを2台完備。少年野球チームから草野球チームまで幅広く活用されています。

「公園や空き地など練習場所がないという課題、少子化による少年野球のチームの減少などにより、ますます野球人口が減っていってしまうという危機感を自分たちも持っています。そこで、学童野球を練習環境から応援していこうと、自宅でも使える練習用品の商品開発を行ったり、ボールパークのような室内練習場を設けたりすることで学童野球を支えられればと考えています。また、関東エリアでは学童野球の大会を開いているほか、いろいろな大会の協賛も行っています」

さらに、もっと野球が上手になりたい、苦手な部分を克服したいといった子どもたちに向けた「エースフォー野球塾」という野球塾も開催。大浦さんはボールパークの運営のほか、この野球塾のコーチも務めています。さらに、元プロ野球選手を招いた特別な野球塾も定期的に行っているそうです。

子どものころから続けてきた好きな野球を仕事にしたいと転職

人に何かを教えるというのは、そう簡単なものではありません。野球塾のコーチを務める大浦さんも「長年野球をやってきましたが、自分が感覚的に分かっていることをいかに子どもたちに分かりやすく伝えるかが難しい。僕自身も日々勉強ですね」と話します。最初のころは随分試行錯誤したと振り返ります。

大浦さんは札幌出身。小学4年生から野球をはじめ、中学では全道大会にも出場し、高校も野球部に所属していました。北星学園大学では軟式野球部で1部リーグ昇格にも貢献。足が速く、ずっと内野手として活躍し、主にサードを守っていたそう。もともとは右投げ右打ちでしたが、高校の時、左打ちの選手が少なかったこともあり、練習を重ねてスイッチヒッターに。今も友人たちと野球チームを立ち上げ、週末には野球を楽しんでいると言います。

▼小学4年生から野球をはじめたという大浦さん。「子どもたちの成長がこの仕事のやり甲斐です」と話します。

「大学のとき、東京での就職も考えたのですが、就職試験を受けるのに東京へ行って、人の多さと暑さに参ってしまい、やっぱり住むなら札幌がいいなと思い、札幌の食品関係の会社に就職しました」

その会社に4年ほど勤め、「好きな野球に関わる仕事がしたい、野球業界に貢献できることがしたい」と考えるようになり、2年前にボールパーク札幌に転職をします。

「ここで働きはじめて、こんなに小学生のチームが減っていることに驚きました。自分が小学生だったころは、チームに40人以上の選手が所属していましたが、今ならその半数以下の人数で練習試合もできないところばかり。野球をやる子が減り、チームがなくなっているという現実を目の当たりにし、このままだと野球人口がさらに減ってしまうと思いました」

野球塾のコーチとして、もっと上手になりたい子どもたちの成長をサポート

大浦さんが教えている子どもたちの大半はすでに野球チームに入っている子たち。中には個別レッスンを受けている子もいます。通っている子たちはもっと上手になりたいという子が大半ですが、「やっぱり野球っておもしろい、これからも続けたいと思ってもらえるように、子どもたちの成長をサポートしていきたいと思っています」と話します。

「僕が小学生の時代は、厳しい野球指導が当たり前でした。でも、今は楽しくやろうという方針のチームと、昔のように厳しく指導しているチームの2極化。どちらがいいとか正しいとかではなく、指導方法も目指す方向によって違うのかなと思って見ています」

▼ボールパーク札幌で開いている野球塾。決して自分の意見を押しつけず、子どもたちが「考える力」を身に付けるためのアドバイスを送ることを意識しています。

そうした現状を踏まえた上で、大浦さんが教える際に気を付けているのは、「その子がどこを目指しているのかをきちんと把握し、押し付けないように指導にあたること」なのだそう。「こういうやり方や方法もあるよと提案する形を取っています。押しつけはこちらのエゴになってしまうので」と続けます。

「そして、今の子たちはとっても勉強熱心。YouTubeなどを検索して、自分たちでも研究しているんです。だから、子どもたちの話も聞きながら、アドバイスをしたり、提案させてもらったりしています」

大浦さん自身も日々あらゆる練習方法を研究しながら、それぞれの子どもたちの技術やレベルに合わせて指導内容を提案。「できるだけ分かりやすく細かく言語化して伝えるように心がけています」と話します。

「子どもたちが、『教えてもらった通りにやったらヒット打てたよ!』『うまくキャッチできたよ』と報告してくれるんですが、そのときのキラキラした嬉しそうな顔を見るとグッときちゃいますね。伝えたことを一生懸命やったんだなと思うと、僕自身ももっと子どもたちが野球を上手になれるようにサポートをしたいと思います」

週末、時間があると、こっそり教え子たちの野球大会や練習試合などを覗きに行くこともあるそう。「ここに通い始めたころはスタメンじゃなかった子が、スタメンになって試合に出て頑張っている姿なんかを見るとまた泣けちゃいます」と続けます。

夢のグラブを形にする。マイグラブをオーダーできるブランド「Glom」

ボールパーク札幌の一角にあるショップでは、フィールドフォースの商品を販売しています。打撃練習用品、守備練習用品など、室内で日々使えるようなものもたくさん並びますが、色とりどりのグラブに目がいってしまいます。

フィールドフォースには、「Glom(グロム)」というグラブブランドがあり、「すでに完成しているものもあるのですが、皮や色、紐の通し方などを選び、オーダーメイドもできるんです」と大浦さん。東京の足立にある工房で職人が一つひとつ丁寧に作り上げていくそうで、「僕も工房の見学に行ったことがあるのですが、グラブができていく工程を見て感動しました」と話します。

▼他の野球メーカーよりも安価でオーダーできる「Glom(グロム)」。夢をカタチにしてみませんか?

自身もオリジナルの硬式用グラブを作ったという大浦さん。赤と黒のグラブを見せてくれました。一部に型押しした皮も用いられており、大浦さんのこだわりが反映されています。

ブランド名の「Glom(グロム)」は、グラブとドリーム(夢)を掛け合わせた造語で、「野球を愛する人たちのこだわり、夢をカタチにしようという思いを込めて名付けています。野球をやっている人にとって、自分のグラブというのは思い入れもあるし、大事なものですからね」と説明してくれました。

仕事も休みも日々野球漬け。子どもたちの成長を感じられるのが喜び

大浦さんは、ボールパークの運営やショップでの接客、野球塾のコーチといった仕事のほか、協賛している野球の大会があれば自社商品を携えて会場にブース出展したり、イベントや地方での販売会に出向いたりすることもあるそう。

「やっぱり野球が好きなので、野球にまつわる自社商品を説明するのはとても楽しいんですよね。うちのものを使って、野球がもっと上手になってもらえたらと思うと、説明にも熱が入りますし」

ボールパークで一緒に働いているスタッフも野球経験者ばかりで、「いつも野球の話をしています」と言います。本当に野球のことが大好きな人たちが集まっている場所なのだなと分かります。「野球塾の子どもたちと話す内容もほとんど野球のこと。休みの日も草野球チームで練習していて、毎日野球漬けですね」と笑いますが、とても充実している感じが伝わってきます。

「野球塾で教えている子どもたちが成長していく姿を見るのが今はとても楽しみです。最近は子どもたちに体力で負けないように、ジムで体を鍛えようかなと考えています。あとは、スポーツトレーナーのように体の構造についてもっと学びたいと思っています。体のことに詳しくなれば、子どもたちにもより納得してもらえるアドバイスができると思うので」

大浦さんの話を伺っていると、本当に野球好きなのが伝わってきます。野球人口が減っている中、野球の未来を支えていくであろう野球少年、野球少女のために奮闘している大人たちがいることは何とも頼もしく感じました。

▼子どもたちは大浦コーチに全幅の信頼を置いています。「塾に参加している子どもたちが、甲子園に出場したり、プロ野球選手になってくれたらこれ以上のことはないですね!」と笑顔でこたえてくれました。
大浦 優希さん

株式会社フィールドフォース ボールパーク札幌

大浦 優希さん

北海道札幌市東区北24条東21丁目1-2

TEL. 011-792-7585

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