こんなおもしろい人がいるなら、札幌の街もこれからが楽しみかも…。そんなふうに思わせてくれる元気いっぱいの若者に出会いました。それが、株式会社FULLCOMMISSION(フルコミッション)の新人・森優太さんです。
森さんが所属する株式会社FULLCOMMISSIONは、札幌に拠点を置き、不動産業の領域から、新しい事業を企画・開発したり、起業する人の支援を行ったりしている会社。ゲストハウスTentoTenの運営、不採算不動産や空き家の再活用、リノベーションしたいお客さまとデザイナーのマッチングなどなど、これまでの不動産業にはない新しいものを生み出してきました。FULLCOMMISSIONを立ち上げ、グイグイ引っ張っている代表の山崎明信さんが、「おもしろい新人がいるから」と推薦してくださったのが森さん。さて、森さんがFULLCOMMISSIONに出会うまでの話やこれから考えていることなどを伺っていきましょう。
FBを見て「おもしろそうな会社!」とピンときて、その場で社長へDM
森さんに話を伺ったのは、FULLCOMMISSIONが運営している共創型ワークスペース・BYYARD。そこのラウンジでスーツ姿の森さんが迎えてくれました。普段からここで仕事をしていることが多いそうです。
2022年の春からインターンとしてFULLCOMMISSIONにジョインした森さん、今年の2月から晴れて社員となり、不動産企画開発事業部に所属。現在は不動産売買の仲介や土地活用も含めた新規事業の提案などを行っています。
FULLCOMMISSIONとの出合いは、SNSだったそう。東京で長期のアルバイトをしていた際、山手線に揺られ、スマホでFacebookを見ていたら、たまたまFULLCOMMISSIONの情報を目にします。
「不動産の領域で新しい事業を企画開発したり、ゲストハウスやったり、おまけに海外でも事業をやったり。こんなおもしろい会社が札幌にあるなんて!と思って、その場ですぐ社長にDMを送りました」
札幌に首都機能を移し、自分で高層のビルを建てて、そして総理大臣になりたいというような内容を書き連ね、DMを送ったそう。普通なら「何を言っているんだ」と弾かれそうな内容にも関わらず、山崎社長からすぐに返信が来ます。翌朝にはオンラインで面談。その後、山崎社長が東京を訪れた際にリアルで会うと、「まずはインターンで来てみる?」と誘いを受け、「はい!」と即答し、札幌でインターンとして仕事に携わることになります。
ビルや都会の町並みが好きだった野球少年は、目立ちたがり屋に成長
生まれも育ちも札幌の森さん。一体、どのような子ども時代を送っていたのでしょうか。
「ずっと野球をやっていました。その一方で、小学生のときから高い建物や都会の町並みが好きで、家に入ってくる不動産のチラシを見るのも大好きでした」
「こういう家に住みたい」「こういう間取りがいい」と、チラシを見ながらあれこれ想像するのが楽しかったと言い、自転車に乗って近所のオープンハウスをあちこち見て回ったときもあったそう。
「自由研究で、札幌のタワーマンションについて調べたこともありました。建物やまちづくり、再開発に子どもなりに興味があったんですよね」
小学生のころからはじめた野球は、札幌大谷の中学へ進学してからも続けていました。高校でも野球部で活躍していましたが、2年生のときにマネージャーに転向。マネージャーとして手腕を発揮し、甲子園や全国大会にも帯同します。
「中学に入ったころから、人と違うこと、周りがやらないことをやりたいというのがありましたね。基本、目立ちたがり屋なので(笑)。野球部でマネージャーになったのも、ケガがきっかけというわけではないんです。自分よりうまい選手はたくさんいるし、それならマネージャーになってチームを俯瞰で見て、チームマネジメントをしたほうが面白そうだなと思ったので挑戦することにしました」
マネージャーとして、全体を引いて見渡し、監督と選手の調整をしたり、取材対応の窓口を担ったり、このときの経験は今も役に立っていると話します(森さんご提供写真)
学生運営のコワーキングスペースに参加し、代表としてイベントなどを企画
大学受験の際も、人と違うことがしたい、目立ちたちという思いから、あえて推薦で行ける大学を選ばず、北海道大学を受験するという選択をします。
「野球部にいるといろいろな大学の推薦をもらえたのですが、そこに反発して、『北海道大学に行く!』って言い続けていました。要はただ単に目立ちたかったというだけなのですが…。結局受験には失敗して、浪人するか、海外へ行くか迷っていました」
母親の姉がロサンゼルスで子どもたちのための幼稚園のような場所を運営していたため、海外へ行くのもありだと感じたそう。そして、「伯母はアメリカのコミュニティカレッジで学んだあと、大学へ進学した人。無理矢理大学に進まなくても、学びたいことが見つかったときに大学へ進むという生き方や選択肢もあるなと思って」と話します。
徐々にアメリカに行ってみたいという気持ちが強くなり、資金を貯めるために居酒屋などでアルバイトを始めます。同じ頃、友人を介して、北海道大学や北海学園大学の学生が運営するカフェ、コワーキングスペースの「13LABO(イチサンラボ)」の活動にも関わるようになります。
「僕は学生ではなかったのですが(笑)、イベントを企画したり、企業の方たちと交流したりするのが楽しくて、運営に参加させてもらっていました」
そして1年後、そこの代表に立候補します。「何度も言いますが、僕、目立ちたがり屋なので」と森さん。ときはコロナ禍。周りから話を聞いて、どんなイベントがあればみんなに喜ばれるか、みんなの役に立てるかを考え、オンラインを駆使したイベントなどを企画したそう。
「たとえば、大学のサークルと新入生のマッチングイベント。北大生に聞いたら、コロナで新入生との接点がなく、サークルや部活に人が集まらないと。その一方で1年生はどのサークルや部活に入ればいいか分からないと。それなら、オンラインでマッチングの場を提供すればいいのでは?と思いました。30くらいの団体を呼び、200人くらいが参加してくれました。あとは、余市町のハンターのところに行って鹿撃ちについて学ぶイベントをリアルで開催。企画して、実施するという楽しさを学びましたね」
周りが大学生だったこともあり、その頃は正直焦りも少しあったと言う森さん。「でも、この13LABOで、いろいろな経営者の方、企業の方とも出会えて、たくさん話ができたことは自分にとってプラスの時間でした」と振り返ります。
落ち込む時間があるくらいなら、どうやればうまくいくか行動したほうがいい
子どもの頃から高い建物やビル、都会の町並みが好きだった森さんは、一度は東京という大都会で暮らしてみたいと考えていました。ちょうど、2022年の1~3月、友人たちと一緒に東京へホテルのアルバイトへ行くことになり、シェアハウスのようなところに暮らします。高層ビルが建ち並び、たくさんの人が往来する東京には、モノはもちろん、文化や情報などあらゆるものが溢れていて、森さんは強く刺激を受けます。
「札幌も都会だと思うけど、東京に比べればまだまだ。都市レベルが違うと思いました。そして、大好きな生まれ故郷の札幌をもっと盛り上げたい。何なら、首都にしたいと思いました(笑)」
そんなときに、FULLCOMMISSIONのFacebookを目にし、山崎社長にDMを送ったのでした。
山崎社長の誘いを受け、札幌に戻って、インターンとして働き始めた森さん。先輩に同行したのは、最初の1週間だけだったそう。ひと通りの仕事の流れを教えてもらったら、あとは自分で営業回りをスタートさせました。
「最初はひたすら、不動産買取の飛び込み営業をしました。土地や建物の所有者に門前払いされることもありましたけど、活用方法の提案書を持っていったり、会ってもらえないところには手紙を書いたり、手探りですが自分なりの営業スタイルを見つけていきました」
不動産営業はインセンティブが高いと言われていますが、その分、自分の頑張り次第ですべてが決まります。研修もそこそこに、一人で営業回りをすることに抵抗はなかったのでしょうか。
「抵抗はなかったですね。現場で経験して覚えていくほうが性に合っているというか…。そして、長く野球をやっていて、結果を出さなければならない世界にいたせいか、うまくいかないからといって落ち込んでいるくらいなら、結果を出すためにどうすればいいかを考えて動くほうが大事だと思うんです。結局は自分で頑張って解決していくしかないので」
買い取った建物はリノベーションして販売。資金の融資などもすべて自分で行わなければなりません。もちろん、分からないこともあるので、そこは先輩のサポートを受けながら、一つひとつ勉強していき、自分のものにしていきました。
今年の2月に社員となり、「自分のスタイルがだいぶできた気がします。仲介業者の人たちとのコミュニケーションも取れるようになりました。いかにたくさんの人に会い、話をし、信頼関係を築くかが大事だと分かりました」と話します。
去年から関わっていたお客さまのリフォーム案件が引き渡しになる際、「森さん以外にはお願いしなかった。森さんを信頼していたから」と言われたときはとても嬉しかったそう。「大変なこともあったけれど、お客さまの希望を叶えるために頑張って良かったと思いました」と話し、最近はこうしたやりがいも感じているそう。
社長は師匠。しっかり学んでいつかは不動産業で独立をしたい
FULLCOMMISSIONで働くスタッフは、みんなそれぞれやりたいことがあって、将来起業を考えている人もいます。そして、会社もそれを応援してくれているそう。
「僕自身も、いつか自分の『森ビル』を建てるために独立したいと考えていて、今は不動産についてイチから学ばせてもらい、経験を積んでいるところです。まだまだ学ぶことはいっぱいありますね」
と、ここで気になったのが「森ビル」という単語。六本木ヒルズなどを手がけるデベロッパーの森ビルのこと?と尋ねると、「その森ビルがやっているような高層ビルやまちづくりを札幌でやりたいと考えています。僕も『森』なので、札幌の『森ビル』(笑)」と楽しそうに話します。
さて、森さんにとって、運命的な出会いをしたFULLCOMMISSIONの山崎社長はどのような方なのでしょうか。
「社長は自分の考えをしっかり持っていて、決断力が早い。仕事の質が高く、ハイレベル、ハイスピードで事業を回していくのは、本当にスゴイと思います。僕が将来、独立したいということも知っているので、いろいろな経営者の方に会わせてくれるなど、いつも気にかけてもらっています。僕にとって師匠のような存在です」
100歳まで生きて22世紀を見たい!人生計画表もばっちり
社員になったのを機に実家を出て、一人暮らしをはじめたという森さん。料理、洗濯、掃除と家事も頑張ってやっていますが、「家を出て、あらためて親のありがたみを感じています。特に洗濯」と笑います。休みの日は、お気に入りのカフェでゆっくり過ごすか、最近始めたゴルフに行くことが多いと言います。
「あと数年はFULLCOMMISSIONでしっかり力をつけて、大きく成長したいです。僕、22世紀を見たいと思っていて、100歳まで生きる予定なんですけど(笑)、去年、自分の人生計画表を作ったんですよね」
そう言って見せてくれたスプレッドシートには、毎年の目標や夢が細かく書かれていました。森さんは社会人としてスタートを切ったばかりですが、彼の街への想いに札幌の未来が明るく見えた気がしました。また、なんとなく大学に進むくらいであれば、同じ時間をいろいろな経験を積む期間と捉え、人生の選択肢の幅を広げている姿にたくましさも感じました。