札幌市を中心に「焼肉 徳寿」を20店舗展開する梨湖フーズ株式会社。焼肉 徳寿以外にも、カフェバー「CAFE&BAR Manhattan」・白老町の自社牧場併設店舗「徳寿ファームレストランKANTO」・スイーツ専門店「パティスリーフレール」を2店舗、さらに海外展開も行うなど、食を通じて人々に幸福を提供することを目指しています。今回は梨湖フーズの業務管理部人事課課長代理の館田朱里さんと、営業推進部カフェ・パティスリー課フィールドマネージャーの発田美帆さんにお話を伺います。入社のきっかけや仕事への向き合い方など、梨湖フーズで働くふたりの自然体な姿をお届けします。
学生時代のアルバイト経験がキャリアの出発点
まずは、業務管理部人事課課長代理の館田さんにお話を伺います。
札幌で生まれ育った館田さんは、高校卒業後、テレビ業界への就職を目指し、江別にある情報系の大学へ進学しました。

「カメラマンになりたいとか、そんな明確な目標はありませんでした。中学生の頃からTEAM NACSに夢中で、いつか一緒に仕事をしてみたいという安易な動機だったんです」
大学入学と同時に、徳寿の南二条店でアルバイトを始めていた館田さん。やがてサブリーダー、リーダーへと昇格し、発注業務やクレーム対応などの仕事も任されるようになったそう。店舗スタッフの中でも主戦力となり、次第に出勤日数が増えていくにつれ、こんな変化が…。
「バイトが楽しかったのもありますが、奨学金の返済や自分のバイト代で学費を賄っていたので、稼ぎたいという気持ちもあって、大学にあんまり行かなくなっちゃったんです」
徐々に学業との両立に難しさを感じた館田さんは、大学3年のときに在宅で学べる通信制の大学へ編入します。その後、アルバイトとして働いていた徳寿を運営する梨湖フーズへ、2020年に正社員として入社しました。
入社後は、海外で1年ほど研修する予定だったはずが、ちょうどコロナ禍が重なり、計画は中止に。館田さんは、急遽本部に配属され、コロナ禍で需要が急増した弁当やデリバリー事業をサポートすることになりました。

「ホールの接客とは全く違う仕事でしたから、大変でした。折り込みチラシを配布したら、朝9時の受付開始と同時に注文の電話が鳴り止まなくて。夢の中でも電話の音が聞こえるほどで、当時は本当にしんどかったです(笑)」
デリバリー事業のサポート業務を1年ほど続けた後、館田さんは白老にあるレストランの旅行会社向け営業を任されます。またしても未経験の業務です。
「ノウハウもない中で営業の仕事をしなければならなかったのは、大変でしたね」
こうして、未経験の仕事をいくつも経験した館田さんは、入社3年目に営業本部の人事課へ異動。現在は業務管理部人事課に配属されて、さまざまな業務を兼任しています。
「人事の仕事も未経験でしたから、人事とは何かというところから始めて、求人票の修正や採用のフローなどを整えていきました。思えば未経験の仕事ばかりしていますね(笑)」
流れに身をまかせ、未経験のスイーツの世界へ
次は、営業推進部カフェ・パティスリー課フィールドマネージャーの発田さんにお話を伺います。
幼い頃から保育士になるのが夢だった発田さん。短大卒業後は、念願通り保育士の道へ進みます。しかし理想と現実のギャップを感じるようになり、サービス業に転職。やがて、とある縁をきっかけに、札幌のブライダル会社が立ち上げるスイーツ部門で働かないかと誘われます。

「ちょうど転職先の仕事にも慣れてきた頃でしたし、ケーキ屋になるつもりもなかったので、いったんはお断りしました。でも、とても熱心に誘ってくださって。そこまで言っていただけるならと思い、流れに身を任せてみることにしたんです」
こうしてスイーツ業界へ足を踏み入れた発田さん。未経験の仕事に戸惑いを感じながらも、職場では人間関係に恵まれ、販売員として奮闘。半年後には店長へと昇進しました。しかし、その後結婚し、ご主人の転勤に併せて札幌から日高地方に移り住むことになります。
「当時私は、パティシエたちが情熱を込めて作ったケーキをお店の顔として販売することに、とても誇りを持っていました。だから夫の転勤をきっかけに辞めることになったときは、寂しさもありましたが、達成感の方が強かったです」
ご主人と共に日高地方に移住した発田さんは、パートとして働きながら、休日には農家の収穫やカフェを手伝っていました。
「まったく知らない土地だったので、何か楽しいことを探そうと思ったんです。おかげで知り合いも増えて、生活をそれなりに満喫して暮らしていました」
やがて札幌に戻ることが決まったとき、発田さんの心の中には、「以前の仲間たちとまたバリバリ働きたい」そんな思いがよぎったといいます。
しかし、発田さんが選んだのは、新しい環境に飛び込み、自分の力でゼロから始めることでした。

「やはり、やり切ったという気持ちが大きかったんです。昔の仲間も新しい職場で働くことを応援してくれたので、すぐさま求人を探しました。そのときに見つけたのが、パティスリーフレールの仕事です。以前来たときに、素晴らしい印象だったので、ここ一択で受けようと思いました」
こうして、パティスリーフレールに入社することになった発田さん。ところが入社早々ピンチが。一緒に働く予定だった正社員の退職が決まり、発田さんがいきなり現場の正社員として頼られる立場となります。
最初は不安な気持ちだった発田さん。しかし、スタッフ一人ひとりへの気配りをかかさず声をかけてくれる上司との良い出会いもあり、自分も頑張ろうという気持ちになれたそう。その後、かつての職場仲間がパティシエとして加わり、製造体制も次第に安定していきました。
そして、2023年11月には「パティスリーフレール ココノススキノ店」がオープンし、発田さんは店長に就任。2024年7月、パティスリーフレールがパティスリー課として独立したタイミングで、フィールドマネージャーに任命されました。そして翌年には「CAFE & BAR Manhattan」もパティスリー課の管轄に入ります。

現場と本社を経験して得た気づき。そして、思いがけないご褒美
それぞれの経歴を伺い、話はふたりの今の仕事内容へ。
館田さんは人事課で主に採用業務を担当しています。中途採用では求人票の作成から面接までを行い、新卒採用では学校を訪問して説明会に参加することも。アルバイト募集の求人票作成や、外国人採用への取り組みなど、人事関連の事務作業全般を広く担っています。また、白老のレストランでは旅行会社との契約事務や営業資料の配付などを担当しています。さらにちょっと面白い業務も担当しているということで…


「冬になると、白老にある店舗のイルミネーションや除雪マニュアルも作っています。それと、白老にある花壇の花は、4年前からずっと私が現地のスタッフと植えているんですよ。花のことなんて何も知らないのに、ある日突然社長から『やってみない?』と言われて、『え、花ですか?』って(笑)」と館田さん。
先陣を切って花を植える館田さんの姿を入社時に見た発田さんは「館田さん、かっこいい」と素直に思ったそう。そして笑い合うふたりからは、仕事の枠にハマらず人生を楽しんでいると感じました。
発田さんは、カフェ・パティスリー課で販売管理や売上管理、原価計算など、店舗の運営面を担当しています。カフェ・パティスリー課が管轄するのは、「パティスリーフレール」の2店舗と2021年に札幌の赤レンガテラスにオープンした「CAFE & BAR Manhattan」の合わせて3店舗です。

「スイーツとカフェでは業態が異なるので、仕事の配分にまだ慣れない部分も正直あります。お酒を提供する仕事も経験してこなかったので、最初は自分の仕事に自信を持てないことも多かったです。それでも任せてもらった責任に応えたい気持ちが強くて。フレールもManhattanも、思い入れのある大切なお店なので、全力で盛り上げていきたいと思っています」
また、店舗スタッフからマネージャーとして本社勤務になり、気づいたこともあるそうです。
「本社の人たちが思った以上に現場のことを考えてくれていて、本社と現場は別々じゃなく、支え合っているんだと感じました。それぞれの店舗の繁忙期もしっかり把握していて、忙しいときには気遣ってくれていたり、イベントがあるときには応援に来てくれたり。現場にいたときは、本社の人たちがそんなに頑張ってくれているなんて知らなかったんですよね」
隣で話を聞いていた館田さんも、これには思わず同意。

「私も、現場にいたときは本社の仕事って楽なんだろうなと思っていました(笑)。でも実際に本社勤務になったら、めちゃくちゃ忙しくて。そんな中でもフォローしてくれていたんですよね。どちらも経験した私たちだからこそ、そのありがたさが分かります」
館田さんは、未経験の分野にも次々と挑戦できることが、梨湖フーズで働く面白さのひとつだと語ります。
「大企業では仕事が細分化されがちですが、うちのような中小企業では一人がマルチタスクでいろいろな業務を経験できるんです。もちろん大変な部分もありますが、楽しいところかなと思います」
そんな館田さんには、ちょっとした「ご褒美」もありました。HTB開局55周年ドラマ『弁当屋さんのおもてなし』の撮影にManhattanが使用され、憧れのTEAM NACS・戸次重幸さんに会う機会を得たのです。
「目の前で見たときは、あまりのうれしさに、もう無理!って(笑)。サインをいただいて、写真も一緒に撮ってもらえて、違う形だけど夢が叶いました」
元気をくれるのは、社内の人たち
働くうえで避けられないのが、仕事の大変さや苦労です。館田さんは、今担当する人事のお仕事を中心に、こう話します。
「人事に関わる業務では、スタッフの採用にかかわる事柄のフローなど、まだ固まっていない部分もあります。そういった社内でまだ整っていないところを整備することが大変ですが、これから自分たちで開拓できる部分なのでやりがいを感じています」
一方、発田さんが感じているのは、店舗スタッフの育成の難しさです。

「せっかく仕事を覚えてもらっても、その人が辞めてしまうと、新しく入ったスタッフにまた一から教えなければなりません。スタッフのオペレーションが安定しないと、お客さまにも迷惑がかかりますし、働くスタッフのモチベーションも下がってしまいますからね」
では、そうした困難に直面したとき、二人はどうやって気持ちを切り替えているのでしょうか。館田さんは、社内の人に話を聞いてもらうだけでも気が紛れると話します。
「休みの日に、何か発散させるようなことはしていないですね。同じフロアにいる経理や総務など、違う部署の人に今こんなことをしていて…と話を聞いてもらうと解決の糸口が見つかることがあります」
社内の雰囲気にも助けられているそう。

「結構みんな話を聞いてくれるんです。上司にも相談しやすい雰囲気ですし。それこそ、花壇のことで困ったときには、社長に直接相談しています(笑)」
発田さんも、特別な発散方法はないと話します。
「私は、仕事で自信をなくしてしまったときは、上司や店舗スタッフのみなさんに、確認しています。それでも気持ちが上向きにならないときは、時間の流れに任せます。気がついたら自然と前を向いています」
自分なりの方法で、仕事の壁を一つずつ乗り越えてきた二人。大変なことも笑い話にして元気をくれる、そんな社内の温かさも二人を支えているのかもしれません。

思い描いていた道と違っても、やりがいに出合える
これから、どのようなことに挑戦したいのか、それぞれの立場から話をしてもらいました。発田さんは、店舗の運営を管理するフィールドマネージャーとしてこう話します。
「最近は原材料がどんどん高騰したのをきっかけに、社内的にも仕入れの見直しをしているんです。でもそれがきっかけで、素材にこだわりたいという気持ちも湧いてきて…例えば、昨年から酪農家や農家と交渉して、牛乳や果物を直接仕入れるようにしています。そういう取引に関わっていきたいですね。やはり、弊社はおいしいにこだわっていますので、パティシエたちが味を追求できるように、私は外側からそれをサポートしていきたいと思います」
人事課の課長代理として館田さんが語ってくれたのは、人材採用への意気込みです。
「飲食業界は人手不足が深刻なんですよね。長時間労働とか、休みが取りにくいといったイメージもまだ残っているので、そこを払拭していきたいですね。弊社は50期にグループ年商100億円の目標を掲げているので、その実現のためにも採用活動に力を入れて、良い人材を増やしたいと思います」
館田さんが考える「良い人材」とはどんな人なのか尋ねてみると、「素直で明るい人」と即答。さらにこう続けます。

「あとは、分からないことを分からないと聞ける人。社員でもアルバイトでも、そういう人が来てくれたらうれしいですね」
館田さんも発田さんも、学生の頃に描いていた将来の夢とは異なる仕事をしています。そんな二人に、あらためて今の仕事のやりがいについて尋ねてみました。
「私は、もともとめざしていたテレビ業界とはまったく違う世界に就職しました。入社してからもいろいろな業務を任され、その都度大変なこともたくさん経験しています。でも、その分、得るものも大きかったです。以前、面接を担当し、採用を伝えたら涙を流して喜んでくれた方がいました。そのときに、人の人生に関わっている仕事をしていることを実感したんです。そんな風に感じられることってめったにないと思うんですよね。この仕事をやっていてよかったと心から思いました」
発田さんは、保育士時代との仕事へのモチベーションの違いについて、こう語ります。

「保育士の頃は、赤ちゃんのかわいさなどが仕事のモチベーションで、自分で何かを成し遂げようなんて考えたこともありませんでした。でも、今一番うれしいのは、どんなに小さな目標でも、達成できたとき。自分自身の目標はもちろん、部下やスタッフが掲げた目標をクリアしたときも、本当にうれしいです」
館田さんと発田さんへのインタビューを通じて、迷いながらも挑戦を重ね、自分なりのやりがいを見つけてきた歩みが伝わってきました。思い描いた道と違っていても、やりがいのある仕事に出会える。二人にはこれからも新たな挑戦を続け、キャリアを切り拓いていってほしいです。


