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さっぽろ連携中枢都市圏とは?札幌などへ移住や定住を支援

2023.11.20

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日本はこの先人口が減少していく見込みですが、北海道、そして道都の札幌市も同様です。人口が減ったとしても、いかに減少幅を縮めるか。札幌市は近隣の市町村とともに協力をして「さっぽろ連携中枢都市圏」を作り、そんな課題に取り組んでいます。

さっぽろ連携中核都市圏では、移住相談会やUターン・Iターンの相談対応、引っ越し費用や奨学金返済の支援など、さまざまな取り組みをしています。

今回、「さっぽろ連携中枢都市圏って何?」という基本的な疑問から、目指している目標や取り組み内容についてなど、札幌市役所の担当者に聞きました。

さっぽろ連携中枢都市圏って何ですか?

さっぽろ連携中枢都市圏とは、札幌市と近隣の11市町村が連携してできた組織です。

札幌市、小樽市、岩見沢市、江別市、北広島市、恵庭市、千歳市、石狩市、当別町、新篠津村、南幌町、長沼町、合わせて12の市町村が、それぞれの特性を活かしながら、暮らしや経済に役立つさまざまな取組を行っています。

さっぽろ連携中枢都市圏ができた、その訳は

日本はこの先、人口減少や少子高齢化が進んでいく身通しです。札幌市や周辺市町村も同様です。将来の担い手が不足したり財源が不足したりすると、経済が弱くなったり行政サービスの維持が難しくなったりすると予想されています。

街の活力を維持していくには、近隣市町村と連携をして、お互いのさまざまな資源の活用や行政運営の効率化が必要になると考えられています。

札幌市まちづくり政策局 政策企画部企画課 広域連携担当係長の山谷 泉さんと山本 拓磨さんに「さっぽろ連携中枢都市圏」ができた理由をたずねると…

札幌市 広報連携担当の山谷 泉 係長(左)と、山本 拓磨さん(右)。さっぽろ連携中枢都市圏を担当しています

「特に札幌圏については人口減少や少子高齢化の問題とともに、若年層が減っているのが大きな問題です。進学で札幌圏に来る方はそれなりに多いのですが、高校や大学を卒業するタイミングで道外に出ていく方が多いんです。理系の就職口が少ないという問題もありますし」(山谷さん)

「総務省の住民基本台帳をもとにしたデータにもあるように、20代で札幌圏から転出する人が急激に増えるんです」(山本さん)

みなさんのまわりにも、高校や大学の進学で札幌圏に来ても、卒業したら札幌圏外、主に道外に就職している方、よく見聞きしませんか?

札幌圏では人口減少や少子高齢化への取り組みとともに、将来を担う若い人たちがどうすれば札幌圏にとどまるか、もしくはいかに道外から札幌圏に来てもらうか、戻ってきてもらうかという取り組みや施策が必要なのです。

「2014年頃、国の方針で地方中核都市と周辺の市町村が連携して課題に取り組む『連携中枢都市圏』という構想が打ち出されました。この方針を受けて、札幌市と経済や社会生活などで密接に関係がある11市町村との間で、さっぽろ連携中枢都市圏を作ろうという話になりました。それで、この組織ができたという経緯です」(山谷さん)

2018年に札幌市が「連携中枢都市宣言」を行い、2019年にビジョンを作って始動。5年スパンでビジョンを見直していくという計画で、2023年現在は1期目の最終年度です。

人口減少問題や少子高齢化問題とともに、若年層の圏域外への流出問題を少しでも改善・解決をしていくために、行政の垣根を超えて歩みはじめたところです。

なにを目指しているの?目標は?

さっぽろ連携中枢都市圏の目標は、札幌圏が「住みたくなる」「投資したくなる」「選ばれる」地域になること。

「人口減少や少子高齢化が進む中でも、12市町村が連携してさまざまな取り組みを行うことで、札幌圏に住みたくなる人が多くなって、投資したくなる会社が増えて、ほかの地域から選ばれる圏域になることを目指しています。そのために、5年ごとのビジョンを立ててKPI(目標数値)を設定し、そのKPIを達成するための取り組みをしています」(山谷さん)

国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、札幌圏の人口は2015年に約260万人でしたが、2040年には221万人~235万人にまで減少すると発表されています。人口が1割も減ってしまうのです。

「人口が減って行くのは仕方がないけど、いかに減少幅を抑えるかという取り組みは可能だと思います。さっぽろ連携中枢都市圏では、2040年時点での札幌圏の人口が240万人になることを目標にしています」(山本さん)

一人でも多くの方に札幌圏にとどまってもらうこと、一人でも多くの方に札幌圏に来てもらうこと、両軸の取り組みをしていくことで、人口減少のカーブを緩やかにして2040年に人口240万人を達成するという方針です。

そのためにも、若い人たちに札幌圏に残ってもらいたいのです。

なぜこの12市町村が「札幌圏」に?

ところで、北海道内の行政区分を知っている方は、なぜこの12市町村なのかと疑問に感じるのでは?

札幌市は石狩管内になるため、石狩管内にある江別市、北広島市、恵庭市、千歳市、石狩市、当別町、新篠津村が連携する該当市町村と考えがちです。小樽市、岩見沢市、南幌町、長沼町は石狩管内ではありませんし、札幌市と隣接しているところもあれば隣接していないところもあります。

なぜですか?と山本さんに理由をたずねると

「札幌市と結びつきが強い市町村を加えたというのが理由です。以前も連携をしていた石狩管内の8市町村のほかに、各市町村から札幌市への通勤や通学の割合が10%を超えている4市町を加えたという経緯です」(山本さん)

詳しくまとめると、12市町村で構成している理由は以下の2つです。

1つ目は、この取り組みよりも前に、石狩管内の8市町村で「札幌広域圏組合」という組織を作って連携して石狩管内の地域振興を図ってきた実績があります。札幌広域圏組合は既に解散していますが、さっぽろ連携中枢都市圏ができたことで、より広く深く連携してさまざまな課題に取り組むようになりました。

2つ目は、札幌市への通勤や通学の割合が10%を超えている石狩管内以外の市町村を加えたためです。各市町村にて就業する人と通学する人に対し、札幌市まで通勤・通学する人がどのくらいいるかという総務省の統計データをもとにしています。

行政区分に関わらず、中枢都市である札幌市と密接に関係がある市町村と連携をするという考え方で12市町村となりました。経済や社会、文化から日常生活まで、比較的密接につながり合っている市町村の連合体なのです。

どのようなプロジェクトやプログラムを行っているの?

「2023年現在ですが、大きな柱が3つあって、その中に関連する事業が合計54種類あります。さらにそれぞれの事業の中には数多くの取り組みがあって、現在ではぜんぶで約80くらいです」(山谷さん)

「すべての市町村がぜんぶ関わっているというわけではなくて、事業や取り組みごとに関わる自治体が違います。札幌市が中枢都市なので、基本的には札幌市でやっている事業を広域的に広げているというものが多いです」(山本さん)

54の事業をかなり簡略化して紹介すると、以下のようになります。

  1. 圏域全体の経済成長へのけん引
    連携事業の企画のほか、企業誘致、販路拡大や人手不足への支援、観光プロモーションなど、札幌圏の経済成長につながるような施策への取り組みです。
  2. 高次の都市機能の集積・強化
    高度な医療サービスの提供や高等教育機関の集積、都市部の開発など、札幌市を中心とした都市機能を充実させていく取り組みです。
  3. 圏域全体の生活関連機能サービスの向上
    私たちの日常生活に最も近い分野が多い項目で、取り組み数も多いため、この中でさらに3つの視点に分かれています。
    1つ目は、医療や福祉、教育や子育て、文化、スポーツ、災害対策など生活機能を強化すること。
    2つ目は、移住促進や定住促進、人材確保や人材育成、ICTのインフラ整備などを進めて行政間の結びつきを強化すること。
    3つ目は、各自治体の職員交流などを図り、圏域のマネジメント能力を強化することです。

札幌圏に移住してもらうために

たくさんある取り組みの中でも、札幌圏への移住施策は気になるところ。大きな課題は人口減少と少子高齢化への対応で、特に若年層の札幌圏流出が地域ならではの課題です。札幌圏への移住施策は人口増加に直結する取り組みですので、少し詳しくたずねてみました。

「移住の取り組みとしては、年1回だいたい1月頃に移住相談会を首都圏で開催しています。12市町村の移住窓口の担当者が出向いて、移住を検討している方に対する情報提供をする場です」(山谷さん)

「移住相談会では生活環境を教えてほしいという相談が多くて、なかでも雪の暮らしについての相談が多いですね。あとは各市町村の支援制度や暮らしの一般的な相談などです。2023年1月に実施した時は、12市町村の担当者が直接話を受けるのとともに、12市町村に移住した方の先輩インタビュー動画も流しました」(山本さん)

UターンやIターンを考えている方にとって、移住の担当者に直で話が聞けるのは嬉しいですね。来場者は20代からシニア層まで幅広く、なかでも30代や40代が多いそうです。ちなみに、移住希望者に対する札幌市の支援制度はどんなものがあるかも聞いてみました。

「ほかの自治体にも同様の制度はあるのですけど、地方創成交付金というお金を使って、移住される方に引っ越しのための支援金を60万円支給するという制度です。条件が少し厳しくて東京23区に在住か通勤・通学をしている方ならば支給されるというものです」(山本さん)

移住を考えている人にとっては何とも嬉しい施策。60万円は大きいです。引っ越し代がこれでまかなえますもんね。

「そうですね、移住相談会でもこの相談が一番多いかもしれません」(山本さん)

札幌から出ていかないように、戻ってきてもらう取り組みも大切

「ただ、移住の取り組みとともに、札幌圏外に出ていかないための定住の施策が重要だと考えていて、若年層を対象に取り組みを行っています。生産年齢人口の方にいかに圏内へとどまってもらうか、また戻ってきてもらうか。両方の取り組みが必要です」(山谷さん)

「移住とともに戻ってきてもらう取り組みの一つとして、Uターン・Iターンの相談窓口となるセンターを東京23区内に設けています。採用したい道内企業の相談にも乗るし、首都圏などで通学している学生の相談にも乗る窓口です。求人と求職者のマッチングや人材の紹介等を行っております」

主にUターンやIターンを考えている学生と、新たに採用したい人をマッチングする場です。基本的にはオンラインで対応しているので、場所を選ばす利用できるのが嬉しいです。さらに、圏外に残ってもらう施策もあるそうです。

「出ていかないようにするための取り組みは、奨学金の返還支援制度です。これは、札幌市にこの支援制度の認定を受けている企業に奨学金を利用している学生さんが就職をした場合、企業に採用された翌年から最大で54万円(年間18万円)支援するというものです。札幌圏の取り組みなので、札幌市以外でも認定を受けている企業なら対象になります」(山谷さん)

「この資金は企業の寄付が半分で、あとはふるさと納税を充てています。企業にそういう取り組みがあると示すことで、学生さんの選択肢として札幌圏に残る可能性を残したいためにこの取り組みをしています」(山本さん)

対象企業に限られるとはいえ、奨学金を利用している方にとってとても嬉しい施策。奨学金の返済がある方は長期間にわたってけっこう大変なうえ、社会人になってはじめの頃はまだお給料も少な目なので、これはとても助かるはずです。

さっぽろ連携中枢都市圏は、「まち」と「ひと」や「企業」が手を取り合うことで、札幌圏に『住みたくなる』『投資したくなる』、さまざまな面で『選ばれる』まちづくりを圏域全体で目指しています。

いかに移住してもらうか、いかに残ってもらうか、いかに戻ってきてもらうか。さまざまな施策を進めていくことで、将来の札幌圏は元気があって住みやすい地域になっているはず! 札幌市や周辺市町村に興味があるみなさん、札幌圏内に住んじゃいましょう!

山谷 泉さん

札幌市 まちづくり政策局 政策企画部 企画課 広域連携担当係長

山谷 泉さん

山本 拓磨さん

札幌市 まちづくり政策局 政策企画部 企画課

山本 拓磨さん

札幌市中央区北1条西2丁目

TEL. 011-211-2281

札幌市役所

さっぽろ連携中枢都市圏とは(札幌市役所Web内)

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